預貯金や株式の相続

遺産相続は財産が多ければ複雑になりやすく、また法定相続人の数が多ければトラブルに発展する可能性も高くなります。
現在日本の法律では遺産相続は被相続人の意思とともに法定相続人の相続できる割合が決められており、それに沿って進めて行くのがスタンダードな方法です。
したがって財産で揉めるケースというのは遺産分割の割合が崩れる、すなわち相続権が侵害されたり、法定相続人同士でどの財産を相続するかが問題になることが多いです。

中でも預貯金や株式というのは比較的多くの人が財産として所有しているもので、特に預貯金は必ずと言っていいほど残されている財産です。
そこで今回は預貯金と株式を相続するときにはどのような流れで進めて行けばいいのか解説していきますので、遺産相続に備えて頭に入れておいてください。

まずはじめに遺産相続の際に法定相続人となるのは配偶者・子供・父母祖父母・兄弟姉妹で、それ以外の身内親戚は該当しません。
優先順位はもっとも高いのが配偶者で、次いで子供、父母祖父母、兄弟姉妹となり、基本的に配偶者と子供がいる場合は父母祖父母と兄弟姉妹は相続権が与えられません。
割合は配偶者と子供の場合は配偶者が2分の1、子供が2分の1、配偶者と父母祖父母の場合は配偶者が3分の2、父母祖父母が3分の1、配偶者と兄弟姉妹の場合は配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1という割合になります。
この割合を前提として法定相続人同士で遺産分割協議を行いますが、預貯金の場合、現金が対象になっているので分配がしやすく、先ほどお伝えした割合に基づいて分ければいいので簡単です。

法定相続人は相続分の預金債権を取得できますから、あとは払い戻しを申請すればその分のお金を相続することができます。
ただ銀行は被相続人が亡くなり、相続が開始された時点で口座を凍結しますので、戸籍謄本類、相続人全員の印鑑証明書、相続人全員の実印を押印した相続届の提示を求めてくることが多いです。
これらは法定相続人であることを証明する書類ですから、提示を求められれば応じる必要があり、そのためには遺産分配協議を行わなければなりません。
勝手に相続分配はこれくらいだろうという曖昧な形ではできませんので、まずは法定相続人が誰になるのかしっかり調査して、法定相続人を確定させることが大切です。
調査の際には被相続人の戸籍調査、遺産調査を両方行い、できるだけ確実な情報を収集してから遺産分配協議をはじめてください。

また、遺言書が残されている場合、通常の遺産分割の割合とは異なるケースが考えられ、たとえば配偶者と子供2人が法定相続人でも子供のうち1人に財産のすべてを相続させるとなると遺留分が発生します。
この場合、遺留分減殺請求をされてしまうと、まずは和解に向けて動かなければなりませんし、最悪の場合調停や訴訟になる可能性もあります。
そうすると相続自体も遅れてしまいますから、できるだけ早く解決できるように動き出すことが大切です。

次に株式の相続ですが、こちらは預貯金のように分けやすいものではありませんので、不動産の相続と同じように遺産分配協議で誰がどの株式を相続するか話し合って決めます。
誰が相続するのか決まったら株券、名義書換の請求書、株主票、被相続人の除籍謄本と相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書などを提出して株式の名義書換を請求してください。
ひとつ覚えておいて欲しいのが、譲渡の際に取締役の承認が必要とされていても、相続は承認を必要としませんので、ここは特に気にしなくて構いません。
なぜなら相続は譲渡とは別の扱いになるため、取締役の介入するところではないからです。

ただし、株式の遺産分割は株式の価値によってどれを取るか揉めるケースもあり、これは不動産の相続にも言えることです。
トラブルにならないようにするためにも、遺産分割がしにくいものに関してはできるだけ被相続人が生前に遺言を残しておいたほうがいいでしょう。
さらに株式も生前贈与の対象になりますから、もし被相続人の生前に法定相続人の一人が限度を超えた生前贈与を受けている場合、それも加えて再度遺産分割協議を行うことになります。

最後にこれは預貯金や株式に限ったことではありませんが、相続できる財産は必ずしもプラスになるとは限らず、場合によってはマイナスの遺産のほうが多くなる可能性もあります。
預貯金がたくさん残されていても、それを上回る負債が残されていれば、それも背負っていかなければならないので遺産調査は入念かつ確実に進めていきましょう。

遺産相続でトラブルにならない、また損をしないためには遺産相続についてしっかり知識を得ることが大切で、それがスムーズな手続きに繋がります。
相続税の問題も対処してくれます。
現在でもまだ全体の70%が遺産相続時に何らかの形でトラブルになると言われているので、早くから被相続人と法定相続人が話し合い、問題なく遺産相続が完了するよう努めるべきです。